税理士による中小M&A支援 実務徹底解説(税務申告・課税関係・税務DD)【非公式】
更新日:2026-08-10
本アプリ「中小M&A資格試験 対策」は運営団体非公式の対策アプリです。本記事は公式の過去問ではなく、中小企業庁が公表する「中小M&Aガイドライン」「中小PMIガイドライン」「専門人材スキルマップ」等に基づき作成した非公式の解説であり、教育・学習目的で提供しています。試験の実施団体とは一切関係ありません。
中小企業の顧問税理士は、税務・会計の専門知識と顧問先の実情把握を活かし、中小M&Aにおいても多面的な支援を行い得る立場にあります。本記事は、中小M&Aガイドライン第3版が示す税理士による支援の内容を非公式に解説します。
個別の税務上の取扱いは案件の状況により異なります。実際の判断にあたっては、必ず顧問税理士や他の専門家にご確認ください。
税理士による支援の特色
税理士は、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とし(税理士法第1条)、税務代理・税務書類の作成・税務相談を業とするほか、付随業務として財務書類の作成等を行うことができるとされています。デュー・ディリジェンス(DD)やバリュエーションは直接的にはこれら税理士の業務に含まれていないため、中小M&Aに積極的に携わる税理士は限られるとされる一方、M&Aが事業承継の選択肢として広く認知され顧問先から相談されるケースも増えているとされています。
税理士は中小企業の経営者にとって身近な相談役であり、顧問として実情を把握し税務・会計に精通していることから、税務・会計に限らず経営支援・金融支援等の多面的な支援を行い得る立場にあり、中小M&Aにおいても積極的な支援が期待されるとされています。中小M&Aに関連する業務が通常の顧問業務の範囲外となる場合には、事前に顧問先へ説明し業務内容や報酬等の了承を得ることも必要とされています。
適正な税務申告書等の作成等
顧問業務の中で粉飾決算等の不正会計を確認した場合、税理士には適切な助言・指導を行う善管注意義務があるとされ、税理士法第41条の3は、不正な国税・地方税の賦課逃れ等の事実を知ったときは直ちに是正を助言しなければならないと定めています。助言に従わなかった場合でもそのまま業務を継続すると不真正税務書類作成禁止違反等に該当するおそれがあるため留意が必要とされています。
あわせて、株主名簿や株主総会・取締役会の議事録等の整備が不十分な場合に、コーポレート・ガバナンスの構築を支援すること、名義株や所在不明株主、簿外債務等の問題がある場合に弁護士等と連携して整理しておくことが望ましいとされています。
中小M&Aの課税関係等を踏まえた適切な助言及び提案
中小M&Aは株式譲渡又は事業譲渡で行われることが多く、代表者交代のタイミングで役員退職慰労金の支払と組み合わせることもあり、税理士にはメリット・デメリットを総合的に勘案した助言やスキームの提案が期待されるとされています。株式譲渡は手続が簡便で一定要件下では欠損金の引継ぎも可能な一方、簿外債務等のリスクが生じ得るとされ、株主個人の税金は譲渡益に対する分離課税(税率20.315%)で完了するとされています。事業譲渡は取得する資産・負債を選択でき簿外債務等のリスクを限定できる一方、個別の移転手続や不動産取得税・登録免許税等が生じ得るとされ、譲渡対価は法人に帰属し株主への還流時には総合課税(税率15.105%〜55.945%)の対象となるとされています。
経営者保証解除支援・税務DD・バリュエーション
税理士は、経営者保証解除の円滑な実現に向け「経営者保証に関するガイドライン」及びその特則に即した対応について、必要に応じて助言することが望ましいとされています。
税務デュー・ディリジェンス(税務DD)は、対象会社の企業価値に影響する潜在的な税務リスク(過去の申告誤りによる追徴課税等)の把握等の観点から必要に応じて行われ、経営陣・顧問税理士へのインタビューや過去の税務申告書のレビュー等が一般的な調査手続とされ、顧問税理士は資料提供やインタビューへの協力が望ましいとされています。バリュエーションは中小M&Aの場合、時価純資産法で算定されるケースが多く、相続税財産評価基本通達による取引相場のない株式の評価(純資産価額方式)はこれに類似し税理士の業務知識でも対応可能と考えられるため、譲渡対価の妥当性について相談を受けた場合には適切な助言が期待されるとされています(判断が困難な場合はM&Aを専門とする公認会計士等との連携が必要とされています)。
登録免許税等の特例・マッチングサイト活用・債務超過企業支援
中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた事業者は、認定計画に基づき行った事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例等の税制措置、日本政策金融公庫の低利融資等の金融支援、許認可の承継の特例等の法的支援を受けられるとされ、税制措置には適用期限があるため留意が必要とされています。
税理士が仲介者又はFAとして主導する中小M&Aでは、民間のM&Aプラットフォームや日本税理士会連合会が運用するマッチングサイト「担い手探しナビ」を積極的に活用することも期待されるとされています。債務超過であっても廃業しか選択肢がないとは限らず、簿価純資産上は債務超過でも時価純資産上は資産超過となる場合もあるため、顧問税理士は廃業の相談を受けた際に中小M&Aの可能性も検討することが期待されるとされ、この際には譲り渡し側の事業についての詳細な情報開示への協力、必要に応じて中小企業活性化協議会や事業再生を専門とする弁護士等との連携が求められるとされています。
他の支援機関との連携
中小M&Aに関わる業務は専門性を有し多岐にわたるため、税理士は顧問先の案件を一人で抱え込まず、事業承継・引継ぎ支援センターや中小企業活性化協議会等の公的機関、中小M&Aを専門とする弁護士等と連携し顧問先に寄り添う姿勢が期待されるとされています。株式譲渡契約書には一般的に表明保証条項が記載されることが多く、経営者がその内容を正しく理解せず事実に反する表明保証をすることも想定されるため、顧問税理士は弁護士等と連携し顧問先にとって不利益な条項がないか確認し適切な助言をすることが期待されるとされています。
まとめ
税理士による中小M&A支援は、日々の税務申告書の作成等から課税関係の助言、税務DD、そして経営者保証や債務超過企業への対応まで、顧問先との継続的な関係を土台に幅広く展開されるとされています。
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- 中小M&Aガイドライン(第3版)(税理士による中小M&A支援の特色・主な支援内容・他の支援機関との連携)