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経営者保証に関するガイドライン 徹底解説(本体・特則・基本的考え方の違い)【非公式】

更新日:2026-07-25

本アプリ「中小M&A資格試験 対策」は運営団体非公式の対策アプリです。本記事は公式の過去問ではなく、中小企業庁が公表する「中小M&Aガイドライン」「中小PMIガイドライン」「専門人材スキルマップ」等に基づき作成した非公式の解説であり、教育・学習目的で提供しています。試験の実施団体とは一切関係ありません。

「経営者保証に関するガイドライン」には、本体のほかに、事業承継時に焦点を当てた「特則」、廃業時に焦点を当てた「基本的考え方」という、策定時期の異なる3つの文書があります。本記事は、この3文書の違いと、中小M&Aにおける経営者保証解除の実務を一段深く解説します。

本記事は、経営者保証に関するガイドライン研究会とも一切関係ありません。

経営者保証の解除・移行は最終的に金融機関等の個別の判断によるものであり、本記事は一般的な制度・実務の解説にとどまります。個別の保証契約の取扱いについては、必ず取引金融機関や弁護士等の専門家にご相談ください。

経営者保証に関するガイドラインとは(本体)

「経営者保証に関するガイドライン」とは、中小企業の経営者による個人保証(経営者保証)に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者及び金融機関による対応についての、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則です。

同ガイドラインは、「経営者保証に関するガイドライン研究会」により平成25年12月に策定・公表され、平成26年2月1日より適用されています。法令ではなく自主的自律的な準則である点に留意が必要です。

3つの文書の違い(本体・特則・基本的考え方)

経営者保証に関するガイドラインには、本体を補完する形で、策定時期の異なる2つの追加文書があります。第一に、事業承継時に先代経営者及び後継者の双方から二重に保証を求めること(二重徴求)を原則として禁止する「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」が、同研究会により令和元年12月に策定・公表され、令和2年4月1日より適用されました。

第二に、中小企業の廃業時に焦点を当て、中小企業の経営規律の確保に配慮しつつ経営者保証に関するガイドラインの趣旨を明確化する「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」が、同研究会により令和4年3月に策定・公表されました。

本体は事業承継に限らない経営者保証全般の準則であるのに対し、特則は事業承継時の二重徴求防止に的を絞り、基本的考え方は廃業という局面に的を絞っている、という位置づけの違いがあります。

特則が禁止する「二重徴求」とは

二重徴求とは、事業承継時に先代経営者及び後継者の双方から二重に保証を求めることをいいます。特則は、この二重徴求を原則として禁止しています。

先代経営者から後継者への交代に伴い金融機関が形式的に両者へ保証を求めてしまうと、後継者に不要な負担を強い、事業承継の妨げになりかねません。特則は、こうした事態を防ぐ目的で策定されたものです。

廃業時の基本的考え方(令和4年3月)が示す目的

基本的考え方は、廃業時に焦点を当て、経営者保証に関するガイドラインの理解を促進するものです。これにより、債務者が廃業したとしても保証人(多くの場合、経営者本人)が破産手続を回避し得ることが周知されることが期待されています。

こうした周知が進むことで、経営者が早期に経営改善、事業再生及び廃業を決断しやすくなり、主たる債務者の事業再生等の実効性の向上や、保証人の新たなスタートの早期着手につながることが期待されるとされています。

中小M&Aにおける経営者保証解除の2つのパターン

中小M&Aガイドライン第3版は、譲り渡し側の経営者保証の扱いについて、大きく2つのパターンを示しています。

第一は、M&Aを進める前の譲り渡し側の信用力・ガバナンスによる解除です。経営者保証に関するガイドライン(本体)は、経営者保証に依存しない融資の一層の推進のため、主たる債務者(=譲り渡し側)に、(i)法人と経営者との関係の明確な区分・分離、(ii)財務基盤の強化、(iii)財務状況の正確な把握・適時適切な情報開示等による経営の透明性確保、の3点を行うことを求めています。これらを実施の上で、経営者保証の解除について保証の提供先である金融機関等に相談することも選択肢となりうるとされています。

第二は、譲り受け側の信用力・ガバナンスを踏まえた解除又は譲り受け側への移行です。事業承継時の特則は、この場面において前経営者に引き続き保証契約を求める場合には、前経営者の株式保有状況(議決権の過半数を保有しているか等)、代表権の有無、実質的な経営権・支配権の有無、既存債権の保全状況、法人の資産・収益力による借入返済能力等を勘案して保証の必要性を慎重に検討すべきとしています。特に、取締役等の役員でなく議決権の過半数を有する株主等でもない前経営者に対しやむを得ず保証の継続を求める場合には、より慎重な検討が求められるとされています。

ただし、解除又は移行の実施は最終的には金融機関等の判断によるものである点に留意が必要です。

経営者保証解除・移行に向けた具体的な進め方

譲り渡し側においてM&Aを通じて自らの経営者保証を確実に解除又は移行したい意向がある場合の対応として、次の3点が挙げられています。

1つ目は、士業等専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談です。弁護士については、経営者保証の扱いに関して保証の提供先の金融機関等との調整等の具体的な支援についても相談できるとされています。

2つ目は、金融機関等への事前相談です。クロージング前又は最終契約前に秘密保持を徹底の上、譲り受け側とともに保証の提供先である金融機関等に経営者保証の解除又は移行について事前相談を行うことも考えられます。ただし、事前相談後も経営者保証の扱いが確定的とならない可能性があること、M&A成立前に金融機関等に情報が提供される点には留意が必要です。

3つ目は、最終契約における位置づけの検討です。両当事者間で調整の上、保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合には、譲り受け側の義務として明確に位置付け、クロージング条件として設定することや、実現しなかった場合を想定した条項(契約解除条項・補償条項等)を盛り込むことが重要とされています。

万全を期す場合には、クロージング日に、必要に応じて金融機関等の同席の下で、代表者の変更登記の手続と、保証の解除又は移行の手続を同時に実施することが考えられるとされています。

支援機関別に見る経営者保証解除支援

中小M&Aガイドライン第3版は、弁護士・税理士・公認会計士・中小企業診断士のいずれについても、中小M&Aに伴う経営者保証解除の円滑な実現に向け、経営者保証に関するガイドライン及びその特則に即した対応について、必要に応じて助言すること(弁護士については、これに加え金融機関との協議・交渉も含む)が望ましいとしています。

このように経営者保証解除は、仲介者・FAだけでなく、複数の士業等専門家が連携して支援することが想定されている論点です。

まとめ

経営者保証に関するガイドラインには、平成25年12月策定の本体、令和元年12月策定で事業承継時の二重徴求を禁止する特則、令和4年3月策定で廃業時に焦点を当てた基本的考え方という、策定時期・目的の異なる3つの文書があります。

いずれも法令ではなく自主的自律的な準則ですが、中小M&Aの実務においては、経営者保証の解除・移行の可否や進め方に大きく関わる重要な論点です。

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よくある質問

経営者保証に関するガイドラインは法律ですか?

いいえ。中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則であり、法令ではありません。特則・基本的考え方も同様の位置づけです。

本体・特則・基本的考え方はどの順番で策定されましたか?

策定時期は、本体が平成25年12月、特則が令和元年12月、基本的考え方が令和4年3月の順です。基本的考え方が最も新しく策定された文書です。

経営者保証の解除は必ずできますか?

いいえ。解除又は移行の実施は最終的には金融機関等の個別の判断によるものであり、一定の対応を行えば必ず解除されると保証されているわけではありません。

二重徴求とは何ですか?

事業承継時に先代経営者及び後継者の双方から二重に保証を求めることをいいます。事業承継時の特則は、この二重徴求を原則として禁止しています。

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