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仲介者の利益相反リスクと不適切な譲り受け側の排除 実務徹底解説【非公式】

更新日:2026-08-10

本アプリ「中小M&A資格試験 対策」は運営団体非公式の対策アプリです。本記事は公式の過去問ではなく、中小企業庁が公表する「中小M&Aガイドライン」「中小PMIガイドライン」「専門人材スキルマップ」等に基づき作成した非公式の解説であり、教育・学習目的で提供しています。試験の実施団体とは一切関係ありません。

仲介者は譲り渡し側・譲り受け側の双方から依頼を受ける立場ゆえに、構造的な利益相反のリスクを抱えるとされています。また、中小M&A市場全体の信頼性を保つため、不適切な譲り受け側を排除する取組も仲介者・FAに求められています。本記事は、この2つのテーマを中小M&Aガイドライン第3版に基づき非公式に解説します。

個別の契約内容や案件対応については、必ず仲介者・FAや士業等専門家にご確認ください。

仲介者の利益相反リスクとは(構造的な背景)

譲り渡し側・譲り受け側は、M&Aの当事者としてそれぞれの利益が対立し得る関係にあり、両当事者から依頼を受けて利害を調整する仲介者には、一方の利益を優先し又は害するリスクがあると指摘されています(利益相反が直ちに違法となるものではないとされています)。

例えば譲渡対価については、譲り渡し側にとっては高い方が、譲り受け側にとっては安い方が望ましく、構造的に利益が対立する部分があるとされています。この状況で、仲介者がリピーターになり得る譲り受け側の利益を優先して取引をまとめる動機があるという指摘がある一方、譲渡額の増加に連動して手数料も増加する場合には逆に譲り渡し側の利益を優先する動機があるという指摘もあるとされています。

こうしたリスクはあるものの、中小M&Aの実務においてはFAよりも仲介者という形態の方が多く用いられているのが現状であり、両当事者の共通の目的であるM&Aの成立を目指し助言・調整を行うという役割も勘案すると、仲介者という業態自体を不適切と断ずることは現実的ではないとされています。

利益相反リスクへの対応策

そこで、仲介者は利益相反のリスクを最小限とするため、最低限、次のような措置を講じることが必要とされています。第一に、両当事者と仲介契約を締結する仲介者であること(特に双方から手数料を受領することが定められている場合にはその旨)を、両当事者に伝えること。第二に、バリュエーションやデュー・ディリジェンス(DD)といった一方当事者の意向を踏まえた内容となりやすい工程の結論を仲介者自らが決定しないこと(この措置は「禁忌肢(一発不合格)とは?」の記事でも扱っています)。第三に、仲介契約締結にあたり両当事者間で利益の対立が想定される事項を各当事者に明示的に説明し、認識した場合には適時に開示することです。

さらに、仲介者は両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行ってはならないとされています。少なくとも、譲り受け側から追加の手数料を取得し便宜を図る行為、リピーターとなる依頼者を優遇し便宜を図る行為、希望した譲渡額との差分の一定割合を別途報酬として要求する行為、一方当事者から伝達を求められた事項を他方当事者に伝達しない又は偽って伝達する行為、一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を秘匿する行為を行ってはならず、仲介契約書においてこれらを行わない旨を仲介者の義務として定めなければならないとされています。

不適切な譲り受け側の排除とは(背景)と譲り受け側に対する調査

最終契約における譲渡額の支払をはじめとした義務の確実な履行はM&A成立の前提であり、その実現の担保が重要とされています。一方、M&A成立後に譲り渡し側の資金を個人口座に送金する等の違法と疑われる行為や、経営者保証の移行等、想定していた内容と異なる事業運営を行う譲り受け側の存在が指摘されており、こうした不適切な譲り受け側は中小M&A市場から排除していく必要があるとされています。

仲介者・FA(M&Aプラットフォーマーを含む)には、譲り受け側が最終契約を履行し対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているかを確認する観点から、財務状況・事業実態の確認や反社会的勢力該当性等のコンプライアンス面の確認を含む調査の実施が求められるとされています。調査は仲介契約・FA契約締結前に加えM&Aプロセスの進捗過程でも適切に実施し、最終契約の締結までに十分確認することが重要とされ、依頼者である譲り渡し側に対しては契約締結前に調査の概要を説明しなければならず、調査内容について見直しの依頼があれば検討しなければならないとされています。

不適切な行為に係る情報を取得した場合の対応

仲介者・FAが過去に支援した譲り受け側について最終契約の不履行等の不適切な行為に係る情報を取得した場合には、担当者レベルに留めず組織的に共有し、当該譲り受け側へのマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築しなければならないとされています。新たな支援の実施を検討する場合には、明確化された基準の下での組織的な判断(記録され事後に検証可能なもの)によらなければならないとされ、譲り受け側の不適切な行為に係る情報を得ている場合には、利益相反防止の観点から譲り渡し側への開示も求められるとされています。

業界内での情報共有の仕組みの構築

個社の取組に加え、不適切な譲り受け側の排除を実効的なものとするためには、業界内での情報共有の仕組みが求められるとされています。自らが支援した譲り受け側のうち最終契約の不履行等の不適切な行為を働く者に係る情報を業界内で共有する仕組みの構築が期待され、可能な限り多くの仲介者・FAが参加し適切に情報共有がなされることで、中小M&A市場における信頼性確保の基盤として浸透することが求められるとされています。仲介者・FAは、契約締結前にこの仕組みへの参加有無(不参加の場合はその旨)について依頼者に説明しなければならないとされています。

まとめ

仲介者の利益相反リスクは、両当事者から依頼を受けるという業態に構造的に内在するものであり、手数料の受領関係の開示や利益対立事項の明示的な説明といった措置で最小化が図られるとされています。

また、中小M&A市場全体の信頼性を確保するため、仲介者・FAには不適切な譲り受け側に対する調査・情報共有の体制構築が求められているとされています。

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